折々の歌や句

朝顔に つるべ取られて もらい水
古池や蛙飛こむ水のおと 
すずめの子そこのけそこのけお馬が通る
若の浦に潮満ちくれば潟をなみ葦辺をさして鶴鳴き渡る  山部赤人
真輝く 岬背に立ち 一筋の辺浪の崩れ 見て笑む君よ
三輪山をしかも隠すか雲だにも心あらなも隠さふべしや  額田王
やは肌のあつき血潮にふれも見でさびしからずや道を説く君  与謝野晶子
羅や人悲します恋をして 鈴木真砂女
十人の男を呑んで九人吐く   時実新子
酔うてこほろぎと寝ていたよ   山頭火
まつすぐな道でさみしい
春の雪ふる女はまことうつくしい
さおしかの朝たつ小野の秋萩に玉と見るまでおける白露      大伴家持
世の中にたえて桜のなかりせば春のこころはのどけからまし    在原業平
かくばかり経がたく見ゆる世の中にうらやましくも澄める月かな  藤原高光
さくらちる木の下風は寒からで空にしられぬ雪ぞ降りける     紀貫之
願はくは花の下にて春死なんそのきさらぎの望月のころ      西行
吉野山梢の花を見し日より心は身にもそはずなりにき
なにとなく春になりぬと聞く日より心にかかるみ吉野の山
転がったところに住みつく石一つ  大石鶴子(1907〜1999)
起きぬけに鎮魂曲を聴く習ひ今日の目覚めのなきもののため
今日あった良きこと一つ拾い上げ日記に書きて自分を誉める 由紀子